厚生労働省は26日、昨年新たに報告された結核患者は前年よりも1199人少ない1万5590人だったと発表した。19年連続の減少で、全体の7割を占める60代以上の減り方が目立った。一方、若年では外国生まれの患者が増え、新規患者に占める割合が初めて1割を超えた。
外国生まれの患者は1667人で、5年前の1・6倍に増加。20代の新規患者では7割に上った。
結核は、結核菌がせきやくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病する。世界保健機関(WHO)の2018年の報告によると、世界の人口の4分の1近くが感染。17年には1千万人が発症し、死者は160万人と推定している。
日本では近年、語学留学や技能実習生で在留中のベトナム、ネパール、ミャンマーの人が発症するケースが多いという。結核研究所(東京都清瀬市)の加藤誠也所長は「地方でも増え、切実な問題になりつつある」と話す。
こうした状況を受け、厚労省は、日本に90日間を超えて滞在する外国人に、母国で結核検査をしてもらう「入国前スクリーニング」を導入する。発病していないか治癒している証明がなければ、ビザを出さない仕組みにする。フィリピン、中国、ベトナムなど6カ国を対象に、来年の東京五輪・パラリンピック開催前の開始を目指すとしている。(阿部彰芳)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル